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■060 2005.08.02
残念ながら雨……。でも、子供たちの笑顔は輝いていた!
 鈴鹿8耐で「ノリックと親子でバイク教室」を行なった。僕は校長として参加。スクール自体は始めてから8年ほどになる。毎年僕自身かなり力を入れているスクールなのだが、去年はGPとの日程がうまく合わず、1度も開催できずにすごく残念だった。今回は、8耐では2年ぶりのスクール。僕も子供たちと会えるのをすごく楽しみにしていた。
 そして7月31日、8耐決勝日の朝に、40組の親子を対象にしたスクールが始まった。まずは教室でのあいさつから。バイクに乗ったことがない子供たちがほとんどなので、「ブレーキのかけ方は自転車と同じなんだよ」「でも、エンジンがあるから自分の足で漕がなくてもいいところは、自転車と違うんだ」と、バイクの仕組みについて説明する。
 その後は外に出て、最初のうちはエンジンをかけずにバイクに乗ってもらう。そして慣れてきたところで、いよいよエンジンをかけて発進……というところで、何と雨! とりあえず一度教室に戻ることにした。
 今まで雨に降られたことがなかったので、「雨が上がるのを待つ間は、どうやって過ごそうかな」と考えていたら、今回の司会進行をしてくれた方がすごく上手にリードしてくれて、自然に僕のトークショーが始まっていた。
 雨の様子を見ながら1時間ほど話をしたが、ちっとも止みそうにない。「ノリックと親子でバイク教室」は、速く走るためのスクールではなく、バイクと楽しく触れあってもらうためのもの。だから、ちょっとでも危険な要素があるなら、絶対に無理はしたくない。今回参加してくれた子供たちは、次回優先的に参加してもらうことを約束して、残念ながらここで打ち切りにさせてもらった。
 エンジンをかけて、「これから!」という所で打ち切りになってしまい、楽しみにしていた子供たちには本当に申し訳なく思った。でも、みんな残念がってはいたけど、納得してくれた……かな!?
 途中までで終わってしまったけど、子供たちの笑顔や楽しんでいる様子を見て、改めて「このスクールを続けていてよかったな」と思った。少しでもバイクの楽しさを知ってもらえたのなら、こんなにうれしいことはない。できれば年内にでも、もう1度開催したいと思っている。
 8耐では、ヤマハブースでのトークショーにも参加した。SBKで僕のチーフメカニックをしてくれている難波恭司さんとのトークで、ほとんど日常会話みたいなリラックスした雰囲気で話をすることができた。
 SBKは日本でのレースがないので、日本のファンの皆さんの前に出られる機会がなかなかない。久しぶりにファンの皆さんと触れ合い、直に声援してもらって、すごくエネルギーになったし、「今まで以上に頑張らないと!」と強く思った。
 イギリス・ブランズハッチでのレースに向け、今日、成田を発つ。日本で子供たちやファンの皆さんとの時間を過ごし、気持ちも新たにレースに集中したい。何しろ、校長がちゃんとした走りをしないと、見本にならないしね!(2005.08.02)
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■059 2005.07.15
SBK Rd.7 BRNO, 2005.07.15 Qualify1...12th/2'04.824
「今回こそは!」と臨んだブルノ
 第4〜6戦と初めて走るコースでのレースが続き、内容も結果も納得いく戦いができずにいた。そして今回のブルノは、GPでのレース経験があるコース。絶対にいい結果を残したかったし、チームスタッフも「知ってるコースなら、おまえは絶対イケるから!」と後押ししてくれた。チームも僕も「今回こそは!」と、気持ちはひとつだった。
 ところが、サーキット入りして意外な事実が発覚! SBKが行われるのは96年以来ということだったが、実はほとんどのチームが2、3週間前に事前テストをしていた。逆に僕はコース自体はよく知っていても、SBKマシンで走るのは初めて。「何だ〜、それじゃオレ、全然有利じゃないじゃん!」とガッカリだ。
 いざフリー走行が始まると、事前テストをしている連中がやっぱりポンポンといいタイムを出してくる。僕はSBKマシンでの走りを探りながらセッションに臨んだが、ここブルノでもリアのグリップ不足が深刻で、思い通りに走れない。「何とかしなきゃ!」とセッティングを煮詰めていった。
 今回は、特性の違うエンジンを試してみたが、こちらは電気系のマイナートラブルがたびたび発生。納得できないままセッションが終わってしまった。
 マイナートラブルは起きたが手応えはあったので、午後の予選は新しい仕様のエンジンで走ることにした。リアのグリップを高める方向でセッティングを進め、予選用タイヤで1秒以上タイムアップして、12番手に。今日のところはまずまずかな。
SBK Rd.7 BRNO, 2005.07.15 Qualify2...15th/2'04.393 Superpole...11th/2'03.954
1周だけのタイムアタックに集中する
 土曜日のSBKはいきなり予選から始まる。もちろん僕もタイム出しを狙う。しかし一向にリアのフィーリングがよくならないので、ブレーキングでタイムが稼げるように制動重視のセッティングを施すことにした。
 序盤のうちから昨日のタイムを更新しているライダーたちもいて、「うかうかしているとまたスーパーポールに出られなくなるぞ」と危機感を感じる。セッションの最後には何とかタイムを縮めることができ、予選は15番手で終了。ぎりぎりのところでスーパーポールに出られることになった。
 ただ、このままでは4列目。決勝レースのことを考えると少しでも前に並んでおきたい。「スーパーポールで絶対挽回するぞ!」と気合を入れ、予選後のフリー走行でさらにセッティングを変えていく。
 そして臨んだスーパーポール。1周だけのラップを、集中してキッチリ走り切る。まずまずの手応えがあったが、マシンのラップタイマーがトラブルで動いていなかったので、自分ではタイムが分からない。
「どうだったんだろう……」と心配しながらピットに戻ると、スタッフはみんな喜んで出迎えてくれた。昨日の予選タイムを更新し、2分3秒台だ。結果は11番手グリッド。1列だけでも前に出ることができてよかった!
SBK Rd.7 BRNO, 2005.07.16 Race1...9th/41'59.149
厳しい状況の中、懸命に走ったが……
 リアグリップ不足という問題が解消していないまま、決勝を迎えることになってしまった。他にも同じような問題を抱えているライダーたちが多いようだが、僕の状況はその中でもかなりよくない。「トップグループについていくのは難しいかな」と、苦戦を予想しながらRace1のスタートに臨んだ。
 結構いいスタートが切れて、1コーナーでは5、6番手までジャンプアップ! でも立ち上がりでハイサイドを食らいかけて、3、4台に抜き返されてしまう。結局、序盤の混戦の間はさほどよくないポジションで走ることになってしまった。
 中盤以降、徐々にペースをつかんできたあたりで、リアのグリップ不足が深刻な状況に。ミスしないように、でも懸命に走って、チェッカーを受けた時は9位。なんとも残念な結果に終わってしまった。
SBK Rd.7 BRNO, 2005.07.16 Race2...4th/41'55.793
悔しさの中にも満足感
 Race1が終わり、ピットに戻るとすぐにセッティングの変更に取りかかった。さらにリアのトラクションがかかる方向でセッティングを変えていく。
 そしてRace2がスタート。今度もそれほど悪くないスタートだ。ところが前の選手を抜こうとしているうちに、後続数台に抜かれてしまった。さらに、やっぱりリアのトラクションが不足している。「これは困ったな」と思っていた矢先に、オイルが出て赤旗。レースは一時中断となった。
 この機会にさらにセッティングを変え、Race2の2度目のスタート! 会心のスタートを決めることができ、1コーナーで一気に2番手まで上がることができた。前を行くのはコルサーだけだ。1周目はピッタリとコルサーの後ろにつけて、コントロールラインに帰ってきた。
 その後、マーガリッジに抜かれ、芳賀くんにも抜かれてしまう。芳賀くんのペースはすごく速くて、あっという間に先に行ってしまった。
「これはうかうかしてられないぞ!」と思ったが、トーズランドに抜かれてしまう。彼はペースが上がらなかったので抜き返し、さらにマーガリッジも抜き返して、3番手に。ところがトップの2台は本当にペースが速く、徐々に離され始めてしまった。
 後続との差は1秒以内。何としても表彰台を獲りたかったので、集中して走行を続けたが、残り8周の1コーナーでフロントが思いっ切りスライドし、ペースが落ちてしまった。それ以降はいろんなコーナーでフロントがスライドし始め、ペースをキープできない。バーミュレンにパスされて、4位でチェッカーを受けた。
 2ヒート目でのセッティング変更でも、リアグリップ不足の問題は少しだけしか改善されず、満足な走りができなかった。しかもフロントまでスライドし始めてはどうにもならない。気持ちとしては絶対に表彰台を獲りたかった。でも、あれ以上無理をしたら絶対に転んでいたと思う。
 悔しさはめちゃくちゃある。3位表彰台と4位とでは、いろんな意味でものすごく大きな違いがあるからだ。でも、今回の状況の中でやれるだけのことをやりきれた、という思いもある。ものすごく悔しい中にも満足感がある、という感じかな……。
 優勝したのは、同じヤマハの芳賀くん。今年の彼にとっても、ヤマハにとっても初勝利だ。本当に速いペースで走っていたし、すごいことだと思う。おめでとう!
 さて次のレースは、またしても初めて走るブランズハッチ。気持ちの中には、正直言って「またうまく行かなかったら……」という怖さがある。でも今回は、表彰台にこそ立てなかったけど内容のある戦いができた。この勢いのまま、ブランズハッチでもいいレースをしたい。(2005.07.18)
NORICK'S PHOTOGRAPH
(写真左から順に)(1)いつもブルノに行く時は、オーストリア・ウィーン空港から2時間半のドライブ。途中、ずっと自然の中を走る田舎道でシャッターを切った。(2)以前にも撮ったことがあるひまわり畑。今年もひまわりが咲き誇っていた。(3)東京に住んでいる僕は、なかなかこんな光景に出会う機会がない。自然と向かい合える貴重な時間だった。(4)左側に見える建物はコントロールタワー。ピットレーンも分かるだろうか? ここはブルノサーキットの旧コース。クルマが走っている道路はメインストレートだ。今年75周年を迎える由緒あるブルノで、1970年代まで使われていた施設がそのまま残されている。ここを通るたびに、当時のレースシーンが思い浮かぶ。(5)今回は特性の違うエンジンにトライ。手応えはあったが、新しい仕様だけに細かいトラブルが発生してしまい、電気系の設定をし直す場面も多かった。
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■058 2005.06.28
SBK Rd.6 MISANO, 2005.06.24 Qualify1...24th/1'38.235
どうにかしなくちゃ!
 フランス・マニクールでのテスト後、急きょミザノサーキットでも走れることになった。「長い時間は取れない」とのことだったが、ミザノは走ったことがないコースだ。しかも次のレースが行われるサーキットを走れる機会なので、ラッキーな話だった。
 ところがテスト日はまさかの雨。走行時間2時間、バイク1台、スタッフ2人という最小限の体制で臨んだテストなのに、雨とは! ホントについてないな〜。
 テストの後は、ヤマハのイベントにゲスト参加するため、チェコへ行った。中央ヨーロッパのヤマハディーラーの人たちとそのお客さんなど約1000人ほどが集まり、サーキットを貸し切って行う大々的なイベントだ。
 続けてレーシングスーツのSPIDIのイベントがあり、今度はイタリアへ。第5戦シルバーストンから今回の第6戦ミザノまで3週間あったブレイクは、結構あわただしくて、あっという間に過ぎ去ってしまった。
 そしてミザノサーキット入り。事前テストでは雨の中ほんの少ししか走れなかったとはいえ、「まったく初めてのコースよりは、少しはうまく走れるんじゃないかな」と思って走り出したら、ドライでの路面グリップの低さにビックリ! とにかく全然グリップしない。
「これはどうにかしなくちゃ……!」と、いろいろなセッティングにトライしてみたが、1回目のフリー走行は22番手という順位に終わってしまった。
 午後の予選は気温が上がり、30℃以上という暑さに。バレンシアでの2レース目もそうだったけど、路面温度が上がると極端にグリップしなくなる。今回のミザノも同じで、もともとの路面μが低いうえにさらに暑くなったものだから、滑って滑ってどうにもならない。
 もちろん最後は予選用タイヤを使ってのタイムアタックを試みたけど、どんなコースでもグリップが上がるはずの予選用タイヤを履いていても、ホイールスピンが収まらない。今までは予選用タイヤでアタックすればポジションを上げられたのに、今回はまったくダメ。順位も24位と、午前中のフリー走行より下げてしまった。
 何だこれは! 大きくセッティングを変えないとダメかもしれない……。
SBK Rd.6 MISANO, 2005.06.25 Qualify2...25th/1'37.534
スーパーポールが遠い
 リアサスに大幅な変更を加えて、午前中の予選にトライ。ところがやっぱりグリップが出せず、全然思うように走れない。予選用タイヤを履いても状況は変わらず、結局予選は25番手という結果に。
 もちろん25番手ではスーパーポールに出ることはできない。今まで確実に出ていたのに、今回はスーパーポール出場権が得られる16番手という順位が、すごく遠く感じられた……。
 でも、いつまでも泣き言は言っていられない。決勝に向けて、何とかマシンを良くしていかないと。午後のフリー走行ではさらにセッティングの変更をしてみた。
 が、状況は変わらない。本当に何をやっても変わらない! 他のライダーもスライドしてるし、グリップは良くないようだが、タイヤメーカーやライダーたちに聞いてみたが、どうも僕だけひどいようだ。みんな同じワンメイクタイヤを履いているはずなのに……。
SBK Rd.6 MISANO, 2005.06.26 Race1...R/10'03.774
目の前のバイクがハイサイド!
 本当に困った状況のまま、決勝日を迎えることになってしまった。リアまわりをさんざんいじってみてもグリップは良くならなかったので、20分のウォームアップではフロントを中心にセッティングを変更。それでもほとんど変わらない。今回は何をやってもうまくいかないなぁ!
 そんな中、Race1がスタート。何とか予選順位よりは前に出たが、赤旗で中断。再スタートとなってしまった。
 2ヒート目は17番手からのスタートだ。予選より2列も前のグリッドなので、何とか序盤から前に出ていいレースをしたいと思っていた。
 そしていざ2ヒート目がスタートし、最初の数周はまずまずいいペースで走れていた。「このままのペースで少しでも前に出るぞ!」と思っていた矢先に、前のバイクがハイサイド! 目の前の出来事だったので避けることができず、突っ込んでしまった。
 大きな負傷はなかったけど、両足を打ったらしくて痛みがある。でも、体よりも精神的にやられたかな。「ダメな時はホントに何から何までダメなんだなぁ」って。
 次のRace2がスタートするまで、体を休めて頑張らないと……。
SBK Rd.6 MISANO, 2005.06.26 Race2...15th/41'25.920
レース人生最悪のレースウィークに
 ハイサイドしたバイクに突っ込んだ時、左足のスネを切っていて、血が止まらない。右足もヒザを打って腫れていた。両足とも痛みがあるけど、ライディングに集中すれば痛みなんて感じない。レースには出場することにした。
 Race2のスタートはまずまずで、一気に16番手にポジションアップ。そのままの勢いでさらに2台抜いて、14番手に上がった。……と思ったら、またしてもグリップの低さに悩まされる。スタート直後から感じていたが、3、4周したあたりからさらにスライドがひどくなってしまい、どんどん抜かれてしまう。レース中盤には18番手まで落ちていた。
 そんな中でも前を行くライダーには離されずにいたのだが、レースが後半に差しかかるところで、太ももの裏がつってしまった! 最初は右足。ストレートで足を伸ばしたりして何とか頑張って走ったけど、しまいには左足も。もう「何だよコレは!」という感じ。ケガした所に力が入れられない分、別な所に変に力が入ってしまったようだ。
 その後は、足がつってしまうのをひどくならないようにするのが精一杯。前を抜くどころか完走するのがやっとという状態だった。
 金・土・日のレースウィークでここまで悪い内容で、しかもいい兆しすら見えないなんて! 去年のGPでは、完走したけどポイントが取れないという最悪なレースがあった。今回は他のリタイヤでポイントこそ取れたが、内容的にはその時よりひどい。いったいどうなってるんだ!?
 これで全12戦のうち、6戦が終わった。GPでの経験があったコースでの最初の3戦は、結果こそ残らなかったけど手応えがあった。その後、初めてのコースでの3戦は、ほとんどいい所がなかった。今のままでは自信の持ちようがない、というのが正直な気持ちだ。
 次のブルノはGPでの経験があるから、何とか納得できるいい走りをしたいところだが……。
(2005.06.27)
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■057 2005.06.12
充実のマニクールテスト── France Test at Magny-Cours Circuit, 2005.06.08〜09
 6月8〜9日、フランスのマニクールサーキットでテストが行われた。シーズンが始まってからはちゃんとしたテストがなかなかできずにいたので、いろいろなパーツを改めて確認しながらの比較テストや、仕様違いのエンジンテストなど、ふだんのレースウィークではできないような内容をこなす。それに、マニクールは今シーズンの最終戦が行われるサーキット。走ったことがない僕にとっては、どんなコースか覚えられる貴重なチャンスにもなる。
 今回は天気も良く、テストはスムーズに進んだ。マニクールは、去年のSBK最終戦でチームメイトのジンベールがポールポジションを獲ったコース。彼から走り方を学ぼうと思っていたが、あいにく前回のシルバーストンのレースで足を骨折し、ヤマハモーターフランスで走るのは僕だけになってしまった。
 初日のタイムは去年のポールポジションタイムの1.8秒落ち。初めてのコースでテストをこなしつつ、予選タイヤを使わずにこのタイムなら、まずまずのスタートと言えるかな……。次の日もいろいろな確認テストをしながら1日中走る。今回はサスペンションのセッティングを一切変えず、各パーツやエンジンの評価に集中する。それでも前日から1秒タイムアップでき、いいテストになったと思う。
 自分のマシンのテストが終わったところで、チームオーナーから「違うパーツが使われているジンベールのマシンも確認してくれないか」と頼まれ、急きょテストすることになった。レースをしていると、自分のマシン以外に乗ることはない。ポジションもセッティングもまったく違うので、すごく乗りにくい。それなのにあっさりと自己ベストの1秒落ちで走れてしまった。これにはスタッフも僕もビックリ。
 チームメイトのマシンに乗るなんて経験は今までなかったが、そこで感じたセッティングの違いは、いい所もあれば自分には合わない所もあって、いろいろな意味ですごく勉強になった。
 木曜日にテストを終えてスペインに戻ると、ちょうど家の近くのカタルニアサーキットでMotoGPが行われているタイミングだったので、この週末は久々にGPパドックに来ている。パドックではみんなが声をかけてくれて、すごくうれしい。GPならではの華やかさも、やっぱりいいものだ。
 来週の火曜には、急きょミザノサーキットでSBKのテストができることになった。「3時間しか走れないけど、どうする?」とチームに聞かれたけど、「どうもこうも、ぜひ走りたいよ!」と即答した。ミザノは次のレースの開催地で、しかも僕はまだ走ったことがないコース。3時間でもすごくラッキーで、ありがたい話だ。テストの後、レースまでの間に立て続けにイベントもあるし、忙しい1週間になりそうだ。(2005.06.11)
NORICK'S PHOTOGRAPH
(写真左から順に)(1)パリからマニクールまでは、ハイウェイを300kmほど走る。初めて行く場所だし、迷いながらなんとか到着。遠くて結構大変だった。(2)これがマニクールサーキットのメインゲート。F1やボルドール24時間耐久レースも行われている。ちなみに正式名称はCircuit de Nevers Magny-Cours。(3)SBKからは、僕たちのチームとホンダ・テンケイトの2チームだけが参加。デビッド・チェカのいる耐久チーム・ヤマハGMT94も参加していたが、人数が少なくてのびのびとテストできた。(4)タイムスケジュールに追われるレースウィークにはできないような、いろいろなパーツの比較を繰り返した。(5)SBKにはSHOEIのサービスが来ていないが、今回は手作りの「ヘルメット乾燥機」を送ってくれた。これがなかなかの優れモノ! 走行の合間の10分ほどで、汗でびっしょり濡れていたヘルメットの内装が完璧に乾いていた。機能性バツグンで、本当にありがたかった。
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■056 2005.05.31
SBK Rd.5 SILVERSTONE, 2005.05.27 Qualify1...17th/1'28.986
スーパーポールに出られない!?
 ここシルバーストンも、僕にとっては初めて挑戦するコース。前回のモンツァと同じように苦戦しそうだったので、気を引き締めてサーキット入りした。
 金曜日から始まる走行の前に、できるだけコースを覚えておきたくて、水・木とスクーターで10周ほど走った。レイアウト自体は覚えられたが、実際の所はR1で走ってみないと分からない……。いざフリー走行を走り出してみると、前回のモンツァよりは早い段階からまずまずのタイムが出せた。
 シルバーストンは今年コースが改修されて、全長も約5kmから3.5kmへと短くなっている。コースの前半部分と後半部分は去年までと同じだが、中間部分が変更されたようだ。新しい中間部分の区間タイムはそこそこよかったが、セッティングをトライしながらのセッションで、終わってみれば16番手。やっぱり苦しい出だしになったけど、コースについてはだいぶ分かってきた。
 シルバーストンはホントに小さなRのコーナーが多い。特にコースの後半部分は、GPコースはもちろん、日本でもめったにないぐらいタイトなコーナーが続いている。最後のシケインなんて、SUGOのシケインより小さいぐらいだ。こんなに小さいRは経験したことがないので、どういうセッティングをしていけばいいのか……。
 午後の予選でもセッティングを進め、さらにコースに慣れるために周回を重ねる。最後に予選用タイヤを履いてタイムアップをしたけど、ポジションは17番手。このままではまずい! 今日はイギリスとは思えないほど天気が良かったが、「もし明日雨だったら、スーパーポールに出られないぞ……!」と、ショックだった。
SBK Rd.5 SILVERSTONE, 2005.05.28 Qualify2...15th/1'28.388 Superpole...14th/1'28.133
手応えはあったのに……
 朝からイギリスらしいどんよりとした曇り空。いつ雨が降ってもおかしくない。まずい、本当にスーパーポール出場が危うい……。
 しかし午前中の予選はドライ。最初のうちは走り込んでセッティングを進め、最後のタイムアタックで何とか15番手に順位を上げることができた。「これでスーパーポールに出られるぞ」とホッと一安心。
 今回は、ブレーキングと、コーナー立ち上がりでのリアのグリップに問題があったので、その後のフリー走行でいろいろなセッティングにトライしてみる。走るたびに少しずつフィーリングが良くなってきた。
 フリー走行が終わると、すぐにスーパーポール。予選15番手の僕は、2番目のスタートだ。スーパーポールは1周だけなので、今までは予選より少し遅いぐらいのタイムしか出せなかったけど、今回は手応えのある走りができて、タイムも予選よりいい。
「これならポジションアップできるかな」と期待しながらピットに戻ったら、1番最初にスタートしていたマッコイが、すでに僕よりいいタイムをマーク!「コレじゃ全然ダメだ〜」と思っていたら、案の定グリッドは14番手どまり。予選から1つしか順位を上げられず、非常に残念な結果になってしまった。
SBK Rd.5 SILVERSTONE, 2005.05.29 Race1...R/33'27.382
トラブルは仕方がない。それよりも、次のレースだ!
 ウォームアップ走行でも新しいセッティングにトライしたら、フィーリングはなかなかいい。コンスタントにタイムが出せるようになり、ポジションも10番手だった。
 ブレーキングのフィーリングをさらによくするために、フロントフォークをもう少し調整し、決勝に臨むことにする。
 Race1はそれほどいいスタートが切れなかった。シルバーストンは抜きにくいレイアウトのコースだから、序盤の混戦のうちに前に出ておきたかったのに……。しかもスタート直後の1、2周目からリヤのグリップがよくない。「ウォームアップ走行と全然違うじゃないか!」と思いつつ、できる限り頑張って、9番手を走行。
 ところがレースが終盤にさしかかるあたりで、クラッチが滑っているようなイヤな感触が。その次の周には完璧にクラッチにトラブルが出てしまい、いきなり数10km/hしか出せない状態になってしまった。
 なんとかピットに戻ったが、そこでリタイヤ。クラッチトラブルの原因は結局よく分からなかったが、パーツの不具合は運もあるし、起こってしまったものは仕方がない。それよりもRace1を走っている時に感じたブレーキングの問題とリアのグリップ不足を解決するために、すぐにミーティングをした。
SBK Rd.5 SILVERSTONE, 2005.05.29 Race2...8th/41'26.950
内容はよくなってきたが、まだまだこれから
 Race2は、Race1よりもいいスタートが切れた。まだ混戦の2周目にシケインでラコーニが転び、それにつられて他の2台が転倒! 僕は避けるのに2秒ほどロスしてしまい、一気に前のライダーに離されてしまった。
 そこからすごく集中して追い上げて、同じR1に乗るピットに追いつくと、ピットと僕の2人でホンダのマーガリッジの背後に迫る。2人ともマーガリッジよりペースは速かったのだが、小さなコーナーばかりのコースではなかなか前に出られない。
 23周目、とうとうピットがマーガリッジをパスしたので、「これはぐずぐずしていられないぞ」と、僕も同じ周にマーガリッジを抜いた。これで狙いは前を行くピットだ。何周か抜きあぐねてしまったが、最終ラップに最終コーナーでピットをパスし、8位でフィニッシュとなった。
 決勝中に、予選と同じぐらいのタイムも出せたし、バトルに競り勝つことはできたし、内容としては前回のモンツァよりずっといい。でも、レース後に確認したら、トップは僕より1秒も速いペースで走っていた。「まだまだだな」と痛感。
 このレースウィークは、初めてのコースでは苦戦することを改めて実感した。次のミザノも走ったことがないコースだけど、初日からもっといいペースで走れるように、今まで以上に頑張らないと!
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■055 2005.05.09
SBK Rd.4 MONZA, 2005.05.06 Qualify1...20th/1'51.367
初めてのコースとマシントラブルに苦しむ
 前回のバレンシアから1週間おいてのレース。SBKは、大会と大会の間隔が長いことが多いけど、今回のように1週おきだとGPに近くて、僕としてはちょうどいい。トレーニングもうまくこなせて、僕自身のコンディションとしては今シーズンの中でもベストな状態でモンツァ入りすることができた。
 モンツァではここ何年もGPをやっていないし、SBKでもテストしていないので、僕にとってはまったく初めて走るコースだ。事前には「コーナー数が少なくて覚えやすいから、大丈夫だよ!」と言われていた。
 でも実際に走り出してみると、シンプルなだけに奥が深い! 走り込んで慣れたいところだったけど、1回目のフリー走行はトラブル続出で思い切って走れず、大苦戦のスタートとなってしまった。
 前回まずまずいいレースができていたし、自分の調整自体はうまくいっているのに、「一体どうしちゃったんだ!?」「とにかくどうにかしないと!」と、もうピットは大変なことに。午後の予選でようやく思い切って走り始めることができたけど、結局いろんなセッティングを試しているうちに終わってしまい、20位という結果に終わった。
 SBKマシン自体には慣れてきているのにこんな結果とは……、もう大ショックだ。
SBK Rd.4 MONZA, 2005.05.07 Qualify2...14th/1'49.520 Superpole...14th/1'49.911
気に入ったセッティングが見つからない
 午前中にいきなりの予選。16位以内に入らないとスーパーポールに出られない。
 昨日のままのセッティングのバイクと、違うセッティングを施したバイクを試してみたら、新しい仕様の方がいいフィーリングで走れるので、そちらをさらに煮詰めていくことにする。
 予選セッションの最後に予選タイヤを履き、14位に。とりあえずはスーパーポールに出られるので、ホッとした。
 僕自身、だいぶコースに慣れてきて、ブレーキングポイントなども分かってきたし、マシンの方向性も見えてきた。でも、さらに良くしていかないことには、今のままじゃ決勝では勝負にならない。
 ところが午後のフリー走行では、リアのグリップが出せず、フロントの安心感も出ないという悪循環にはまってしまう。特に中高速コーナーに進入する時の倒し込みで、フロントの安心感が得られないまま、1時間のセッションが終わってしまった。
 すぐにスーパーポールが始まる。集中して走って、1分49秒9。本当は予選で出した49秒5ぐらいは出したかったけど、ポジションはキープできたし、今回の状況からすれば、まあよしとするかな……。
 でも、気に入ったマシンセッティングがまだ見つかっていない。明日の朝、さらにトライすることにした。
SBK Rd.4 MONZA, 2005.05.08 Race1...10th/33'02.025 Race2...12th/31'25.370
めちゃくちゃ悔しい!
 朝の20分でさらにセッティングを進める。フロントスプリングをハードにしてみたら、なかなかフィーリングが良くて、前日までのフリー走行や予選と比べても、1秒ぐらい速いペースで走れている。「これはずいぶん良くなったぞ!」と、決勝に向けて明るい兆しになった。
 Race1のスタートはそこそこ。結果としては10位だったけど、思っていたよりも速い49秒台のペースで走ることができて、内容的にはまずまず頑張れたレースだったと思う。
 決勝はもう1レースある。セッティングを変えて、さらに0.5秒速いペースで走れれば、もっといいポジションを争えるはずだ。セッティングを変えずRace1の走りをキープするか、セッティングを変えてもっといいペースを狙うか。はっきり言って賭けになるけど、ここはセッティングを変えて、勝負してみることにした。
 ところがそのセッティングが予想以上に悪くて、序盤から全然ペースが上げられない。カワサキのサンチーニとスリップストリームで抜きつ抜かれつのバトルになり、余計にペースが上がらなくなってしまった。
 さらにラスト2周というところでカワサキのブッセイにパスされる。何とか抜き返そうとしたけど、彼のマシンは白煙を上げながら走っている! 突然オイルを吹く可能性があるので近付けない。結局抜き返すことができず、もうめちゃくちゃ悔しかった。
 セッティングが決まらずペースは上げられないわ、ブッセイを抜き返すこともできないわで、Race2の内容は最悪。今週は大変なレースウィークになってしまった。
 こんなに思い通り走れないなんて、本当にショック。次のシルバーストンも全然知らないコースだ。今回のレースウィークを踏まえて覚悟して臨み、同じことを繰り返さないようにしたい。
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■054 2005.04.25
SBK Rd.3 VALENCIA, 2005.04.22 Qualify1...10th/1'37.520
まずまずの1日
 カタール、オーストラリアとオーバーシーのレースが続いたが、ここバレンシアからヨーロッパでのレースが始まる。GPの時もそうだったけど、ヨーロッパに来るといよいよ本番という感じだ。
 それと同時に、バレンシア以降は知らないサーキットでのレースが続く。本場ヨーロッパでの最初のレース、さらに次から続く「初めてのサーキット」での戦いにつなげる意味でも、「いい結果を残すぞ!」と思いながらサーキット入りした。
 ここはみんな何度もテストをしているコースなので、午前中のフリー走行からどんどんいいタイムを出してくる。僕は15位。感触はそれほど悪くない。
 前戦オーストラリアでのセッティングを施したバイクと、以前ここバレンシアでテストした時のセッティングを施したバイクの2台を乗り比べ、最終的にはテストの時の仕様をベースに、午後のセッションでさらに煮詰めていくことにした。
 午後の予選では、多少気温が上がったことで、リアのグリップが極端に下がってしまった。これにはビックリ! タイムも出ないし、困ってしまった。セッティングは大幅には変えず、細かな調整を進める。最終的には予選用タイヤでアタックして、10番手。まずまずの1日だった。
SBK Rd.3 VALENCIA, 2005.04.23 Qualify2...6th/1'36.241 Superpole...8th/1'36.862
1周の走りに集中!
 午前中にいきなり2回目の予選。気温が低いからか、昨日の午後の予選よりもフィーリングはいい。セッションの前半は決勝を想定してロングランをしたが、前日の予選と同じぐらいのタイムでコンスタントに走れる。
 予選用タイヤを履いてのタイムアタックにも自信を持って臨むことができ、昨日より1秒以上タイムアップして6番手に。いつも予選ではタイムが出せないタイプだけど、今回は手応えのある走りができて、すごくいいセッションだった。
 午後のフリー走行では、気温が上がるとグリップが下がるという昨日と同じ症状に苦しむ。周りのライダーのタイムを見ると、それほど極端にタイムは落ちていないのに……。
 一時はポジションも10番手以下まで落ちてしまったが、最後に確認のために履いた予選用タイヤはちゃんとグリップして、結果は5位。でも、決勝用タイヤに不吉な予感を残したまま、セッションが終わってしまった。
 少し間をおいて、すぐにスーパーポールが始まる。予選6番手なので、今回僕が走るのは11番目になる。待っている間にどんどん緊張してくる。しかもみんなそれなりにいいタイムだ。僕はフリー走行でタイムが出ていないというイメージがあったので、「いくら予選用タイヤでもいい走りはできないんじゃないか?」という不安があった。
 でもポジションは下げたくない。1周の走りに集中して、1分36秒8。予選よりも0.6秒遅かったけど、8番手グリッドだからよしとしよう! カタールは4列目、オーストラリアは3列目で、今回は2列目からの決勝スタートだ。
SBK Rd.3 VALENCIA, 2005.04.24 Race1...R
「攻め切る走り」ができた
 午前中に行われる20分間のウォームアップ走行では、決勝を想定して中古のリアタイヤを履いて走る。なかなかいいフィーリングで走ることができて、7番手。ほとんどのライダーが新品タイヤを履いているのを見ていたから、かなりの自信になった。
 そしてRace1の決勝。バレンシアはとにかく抜きにくいコースなので、スタートを決めて序盤から前に出ておきたい。とにかくスタートに集中! まずまずのスタートを決めることができて、序盤は4番手につけた。
 4周目にピットを抜いて3番手に上がる。その後はバーミューレンとの一騎打ちに。トップはずっと先行してしまったし、僕の後ろは4秒、5秒、6秒と離れていったので、完全に僕とバーミューレンとの2位争いだ。
 ラスト5周目あたりからバーミューレンのペースが落ちてきた。「こんなに落とすのか?」というほどのタイムの落ち方で、僕としては抜きたくて仕方がなかった。
 どこで抜けそうか後ろからずっと見ていて、ラスト2周でバーミューレンをパスしようとしてプッシュしたら、フロントが流れてしまって転倒!
 4位との差はあったし、3位キープを狙えば確実に獲れたから、ホントに悔しい。でも、転んだことは確かに悔しいけど、とにかく攻めの走りができたことは、今後のレースにつながると思う。
 SBK初表彰台は逃したけど、表彰台が確実という中でもさらに攻めの走りができたことは、自分にとってはすごく大きな収穫だった。ここのところ表彰台争いから離れていたので、いざそういう状況になった時でも攻め切れるかどうか、イメージできなかったからだ。もちろん転倒はしちゃいけないことだけど、僕としては少し安心できた。
NORICK'S PHOTOGRAPH
(写真左から順に)(1)これが今回から使うモーターホーム。今年から新型になった。(2)内装も今まで以上にゴージャスになり、快適そのもの!(3)パドックで使うスクーターも、僕のマシンに合わせてカラーリング。すごく気に入っている。(4)ピットのデザインも変わって、写真が飾られている。
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■053 2005.04.03
SBK Rd.2 AUSTRALIA, 2005.04.01 Qualify1...11th/1'34.960
もっと攻めの走りをしたかった
 ここフィリップアイランドでは、去年の10月にMotoGPのレースをしたばかり。だから「久しぶり」という感じはまったくしない。ただ、SBKマシンで走るのは初めてで、「同じコースでも、マシンが違うとこんなにリズムが変わるのか!」と驚いてしまった。
 前戦のカタールは、MotoGPでも初めてのコースだったから、それほど戸惑いはなかったけど、フィリップアイランドはMotoGPや500ccマシンでも、レースやテストをたくさんこなしている。そのリズムが体に染みついている分、かえって違和感がある。
 ただ、よく知っているコースだけに、走り出しからタイムの出方はいい。フリー走行は10番手。SBKも何度も行われているコースだから、僕にアドバンテージがあるわけじゃないし、僕自身、走り出しからポンといい位置につけるタイプでもないから、出だしとしてはまずまずだった。
 予選では、バレンシアでのテストと同じ状態から走り始め、リアサスペンションを徐々に柔らかくしていく方向でセットアップしていく。そして最後にタイムアタックだ。
 カタールやバレンシアでは2周保つ予選用タイヤだが、フィリップアイランドは左コーナーが多く、タイヤの左側が激しく消耗してしまうので、1周しか保たない。そんなこともあって、「もうちょっと攻められたかな……」というところでアタック終了。11番手に終わった。
 1日が終わる頃から、体調が悪くなってきた。どうも風邪っぽい。「これはマズいな」と、夜9時半にはベッドに入った。
SBK Rd.2 AUSTRALIA, 2005.04.02 Qualify2...16th/1'34.725 Superpole...12th/1'34.742
初めてのスーパーポール
 土曜日は、起きてみたら熱っぽくて、37度2分。でも、そんなことも言っていられない。午前中の最初の走行は、いきなり2度目の予選だ。このあたりのタイムスケジュールは、MotoGPに慣れた身には違和感がある。
 ちょっと早めにアタックして、タイムは1分34秒7。ピットに戻ると、スタッフが気が気じゃないといった様子でモニターを見つめている。僕の後に他のライダーたちがアタックを始めたので、何位になるかをチェックしているようだ。
 16位以内にならなければ、スーパーポールに参加できない。上位陣がアタックをして、僕のポジションは徐々に落ちてしまう。でも何とかギリギリ16位に踏みとどまって、スタッフみんなでホッとしていた。
 ヤマハ勢としても、芳賀くんが19位、一発のタイム出しが得意なチームメイトのジンバートが21位と、なんだかいつもとは様子が違う予選だった。
 そして午後のフリー走行。決勝に向けてのセットアップを進める。問題はリア周り。グリップが得にくく、チャタリングの問題が出てしまうので、コンスタントにいいタイムで走るのが難しい状況だ。結局解決できないまま、フリー走行は終わってしまった。
 そしていよいよスーパーポールだ。前戦のカタールでは天候不順で行われなかったので、僕にとっては初めての経験になる。「緊張するかな〜」と思っていたが、予選順位16番手の僕は一番最初の出走で、緊張するヒマもないうちにスタート! あれよあれよという間に走り出してしまい、緊張しなかった分、走りに集中できたのは良かったかもしれない。
 ただ、やっぱり難しさはある。今までの予選では、コンスタントに走り続け、そのままタイヤを履き替えてタイムアタックするので、体や目が慣れた状態で走れた。でもスーパーポールでは、フリー走行から15分のインターバルがあるので、いったん集中力が途切れてしまう。
 それでもタイムが伸びなかったライダーが4人いて、決勝グリッドは12番手に。予選では16番手だったから、1列前につくことができた。
 金・土のフィリップアイランドは30℃を超えていた。体調が悪いところへきてその暑さで、肉体的には相当疲労……。この日も早寝して、決勝に備えた。
SBK Rd.2 AUSTRALIA, 2005.04.03 Race1...6th/35'30.315
スライドとチャタリングに悩まされる
 朝、すごく熱っぽいので、体温を計ったら38度5分。しかも窓の外を見たら雨。これは最悪だ……!
 ウォームアップ走行はフルウェット。とにかく体調が悪いし、転ばないように集中して走る。YZF-R1ではあまりレインコンディションで走っていないこともあって、探りながらの走行だ。「このままだと全然タイムが出せないぞ」という、あまり良くないフィーリングをつかんだぐらいで、セッションが終わった。
 その頃から空が明るくなってきた。地元の人も「この分だと決勝はRace1もRace2もドライになるね」と言っていたが、その言葉通り、路面はどんどん乾いていく。そしてRace1は完全にドライでスタートできそうで、とりあえず胸をなで下ろす。
 本当は午前中のウォームアップ走行がドライなら、試してみたかったセッティングがあったので、Race1はぶっつけ本番でそのセッティングで走ることに。スタートはまあまあ決まって、レース中盤には4番手を走行。タイムもそこそこで、「悪くないぞ」と思っていた矢先、残り6周目ぐらいからリアのスライドとチャタリングがひどくなってきてしまった。
 ノイキルヒナーにパスされ、一度は抜いたピットにも抜き返されてしまい、チェッカーを受けた時は6位。自分としては、すごく体調が悪い中、暑いコンディションでのレースを無事に終えることができて、ホッとしたというのが正直なところだ。
 レース後半に出てしまった問題を解消するため、難波さんと相談して、Race2に向けてセッティングを変えていくことにした。
SBK Rd.2 AUSTRALIA, 2005.04.03 Race2-1...7th Race2-2...12th Aggregate...8th/38'37.511
2戦連続の雨・赤旗中断
 SBKは1日に決勝2回というハードなスケジュールなので、体調のことを考え、一度ホテルに帰って体を休めることに。そしてRace2のスタートを迎えた。
 今回もスタートはまずまず。バーミュレンと加賀山くんと僕の3台が抜きつ抜かれつのバトルになっている間に、トップ4台が抜け出すようなかたちで先行してしまう。コーナーで加賀山くんを抜いてもストレートで抜き返される、という展開が続いたので、いったん後ろについて様子をうかがうことにした。
 そのうちに、ピットとノイキルヒナーに追いつき、レース中盤には3位から7位までが1〜2秒の中に入るダンゴ状態になった。僕としては抜きどころを決めていたので、レース後半に勝負をかけて3位表彰台をもぎ取るつもりでいた。セッティングもうまく行ったみたいで、毎周速いラップで走ることができている……。
 ところが12周目に、ざーっと雨が! もちろん赤旗中断で、前戦に続いて「またか!」。ピットに戻ると土砂降りで、コースは完全にウェットコンディションだ。セッティングをレイン仕様にして、レインタイヤを装着し、グリッドに並ぶ。
 でも、午前中のウォームアップ走行では、ウェットコンディションで苦戦している。少しでもグリップを得るために、できるだけ前後サスを柔らかくしてスタートした。
 ところが、それでも全然グリップしない! これはとにかく転ばないようにしないと。みんな条件は同じはずなので、「これは転倒が続出するぞ」と確信していたら、案の定1周目からバタバタと転倒……。終わってみたら8番手だった。
 今回は、ドライでいい感じで走れていただけに、雨が降ってしまったことは本当に残念。でも、こればっかりは仕方ない。自分の体調のことを考えれば、8位という結果には満足しなくちゃいけないかな。
 それでも、初戦よりは確実に前の方でレースができている。チームスタッフも僕も、表彰台はもう目の前だと感じることができ、次のレースに向けてモチベーションも高まってきた。コンディションを整えて、運を引き寄せながら、早い段階で表彰台を獲りたい。(2005.04.03)
NORICK'S PHOTOGRAPH
(写真左から順に)(1)僕がGPやSBKでレースをしていて初めてだと思うが、今回のレースはヤマハが冠スポンサーになっている。レース名称にもヤマハの名前が入っていた。そんなこともあって、木曜日はヤマハライダー全員を集めて撮影会が行われた。これは撮影の準備をしているところ。(2)(3)(4)撮影風景。マシンにまたがったり、降りたり、向こうから歩いてくたりと、全部で9カットほど撮影した。(5)撮影の後、難波さんとミーティング。金曜日からの走行に備えてポジションチェックをしているところ。
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■052 2005.03.14
滑り出しは順調── Spain Test at Valencia Circuit, 2005.03.12
 まだしっかりと準備ができていない状態でのレースになった、第1戦カタール。結果には結びつかなかったけど、手応えはあった。そのレースを踏まえて、今回はバレンシアで再びテスト。「一度レースをこなしている分、開幕前テストの時よりも進んだ内容のテストができるかな」と期待して臨んだ。
 SBKのオフィシャルテストは、1日をWSSと区切った形で行われることが多い。今回のバレンシアでも、午前と午後で2時間20分ずつで、1日4時間40分しか走れない。「ホントは丸1日テストしたいのに、あまり時間がないなぁ」というのが正直な印象だ。
 まずはカタールでのレース仕様のマシンで走り始める。セッション序盤からとんとん拍子にタイムが出て。すぐにバレンシアでのSBK自己ベストタイムを更新。ポジションも6番手となかなかの滑り出しだった。
「これからもっともっとセッティングを詰めていかなくちゃ」と、午後のセッションに臨む。ところがあまり大きなセッティング変更ができず、足踏み状態に陥ってしまった。何だかムダに周回数だけ重ねてしまった感じ。ラップタイムも午前と比べてコンマ1秒しか更新できずに、1'37.670。12番手だった。
 もっと先に進みたかったのに、なかなかスムーズに物事が進まないまま、テスト初日を終えた。
あわてずに、1歩ずつ── Spain Test at Valencia Circuit, 2005.03.13
「雨になるんじゃないか」と言われていた2日目だが、朝起きてみたら曇り。雨は降っていないし、天気はだんだん良くなりそうで、ウェットコンディションの心配なさそうだ。
 昨日からそれほど大きくセッティングを変えていないが、タイムの出方が悪くなってしまった。昨日の午前中に出ていたタイムさえ出ない。
 リアサスペンションの硬さを、ハードとソフトの両極端に振ってテストしてみて、感触の良かったハード目をベースに、さらに煮詰めていくことにした。
 セッションの最後には、各ライダーに配られる予選用タイヤを使い、全員でタイムアタック。1周目に、今回のテストのベストタイム1'37.347を出し、続けてアタック。SBKで使われているピレリの予選用タイヤは、2周は保つ。
 2周目の第1セクションまでは1周目より0.2秒速いペースだったが、第2セクションの後半で他のライダーにラインをふさがれてしまい、接触寸前のギリギリのところで回避! タイムアタックはそこで終了した。
 周回数はすごくたくさんこなしたけど、「かろうじて1歩進めたかな」「セッティングの方向性が見えてきたかな」というところで終わってしまった。チームも僕もSBK1年目ということで、まだまだ勉強しなくちゃいけないことが多い。正直、焦りも出そうになるけど、あわてずに1歩ずつ前進していこうと思う。
 今回は、初めてチームのホスピタリティが用意された。レースシーズン中、ヨーロッパでの全レースを回るホスピだ。これがホントにおいしい! フランス人のシェフが作ってくれる料理は最高で、今までのライダー生活の中で一番おいしいホスピじゃないかな。サーキットでの食事はすごく大事な要素。おいしい料理を食べてリラックスすれば、疲れも吹き飛ぶし、気分も新たにライディングできる。これには大満足だ!(2005.03.14)
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■051 2005.02.27
SBK Rd.1-QATAR, 2005.02.24〜25 Qualifying Session...13th/2'02.868 Superpole...15th/2'04.354
砂漠のカタールなのに、雨!?
 いよいよSBKの開幕戦だ。ここカタールではすでにテストをしていたので、チームスタッフとは「高いレベルからスタートしよう」と話し合っていた。
 ところが何と、レースウィーク初日の木曜日は、砂漠のカタールでまさかの雨! 午前中は雨のためほとんどのライダーが走らず、僕もピットでの「待ち」となった。SBKではスリック、レインを合わせてレースウィーク中の使用タイヤ本数制限があるので、むやみにタイヤを使ってしまうわけにはいかないからだ。
 午後の予選はほとんどドライになったけど、僕はやっぱりたくさん走ってタイムを出していくタイプなので、いきなり走り出しのセッションで「予選!」と言われても、リズムに乗りきることができない。結局13番手に終わってしまった。
「スーパーポールで頑張らなくちゃ!」と思いつつ迎えた金曜日も、何と雨。「何でだよ!」と思いつつ、この日はさすがに走ったけど、午前中の予選は完全にウェット。ポジションアップはできなかった。
 スーパーポールも、雨が降ったり止んだりというコンディション。通常は各ライダーが1周のタイムアタックをするのだが、今回は50分間の中でのタイムタックという、予選と同じ形式になった。
 雨が上がって乾きだしたところを見計らってアタックするのだが、路面が濡れている所があるかもしれないというような状況だ。まだ慣れきっていないマシンで思いっ切り攻めるのはリスクが大きくて思うようなタイムが出せず、15番手グリッドとなってしまった。
 すごく悔しかったけど、GPでもさんざんこういうグリッドについていた分、ある意味では経験がある。「気にしないでレースに臨もう!」と気持ちを切り替えた。
SBK Rd.1-QATAR, 2005.02.26 Race1-1...5th Race1-2...11th Aggregate...10th/37'37.625
赤旗中断&マシントラブルの初レース
 今日もやっぱり雨。完全なウェットで、トライしてみたかった新しいドライセッティングを試すこともできず、もうガックリ……。とにかくドライでレースをこなして、少しでも早くマシンに慣れたいのに……。
 Race1のスタートが近付いてきた。時おり小雨がぱらつき、コースはところどころ濡れている所もあったけど、何とかドライ。全車スリックタイヤを履いてのレースとなった。
 そしてレースが始まった。スタートは会心の出来! 15番手グリッドからスタートして、1周目は7番手で戻ってこられた。「よっしゃ、絶対に前に行くぞ!」と気分も乗ってきて、4位まで上がった10周目に、雨で赤旗が出てしまった。でも、「再スタートもうまく決めれば、間違いなくいいレースができる」と思っていたので、レース中断の悔しさはなかった。
 雨はすぐ止んで、Race1の2ヒート目は結局ドライに。赤旗が掲示された1周前の順位でグリッドが決められるので、僕は5番手グリッドからのスタートとなった。
 ところがウォームアップラップに出ていった瞬間に、電気系のトラブルが発生。メカニックたちはすでに全員グリッドで僕を待っていたので、ピットには戻らずいったんグリッドについた。
 マシンを停め、僕が「電気系だ!」と言うと、チームスタッフがみんなパニックに! それぞれ全員がいっせいに違う行動を取り始めて、収拾がつかなくなってしまった。
 ようやく問題を解決した時にはもうタイムアウトで、ピットスタートをすることに。ビリから必死に追い上げたけど、2ヒート目は8周でチェッカー。10位まで挽回するのが精一杯だった。
 トラブルでみんながあわててしまったのは、新しいチームでの初めてのレースだから仕方がない。スタッフも「レース内容は、追い上げのレースですごく良かったよ」と称えてくれた。
 でも、SBKではもう1回決勝がある。Race1をやってみて、「次は絶対もっといいレースができる!」と確信できたので、Race2に向けてコンセントレーションを高めた。
SBK Rd.1-QATAR, 2005.02.26 Race2...7th /37'09.793
新しいレース人生のスタート
 シグナルに集中して、Race1と同じような会心のスタート!「やったぜ!」と、もう完全にイケイケで、表彰台を獲ることだけを考えていた。
 ところがホンダに乗るドイツ人ライダーがなかなか抜けない。何とか抜いてもまた抜き返されて、ペースが上げらない。バトルはラスト3周まで続いた。
 そのうち、後ろからどんどん追い上げてきた連中に迫られ、バタバタと抜かれてしまった。今日の僕のマシンは加速がもうひとつで、他車を抜くのが難しく、しかも抜かれやすいという厳しい状況。カタールのコースはラインの自由度がないこともあって、なかなか前のライダーを抜けないことと、順位がどんどん落ちていくことで、かなりイライラしながら周回した。
 ようやくドイツ人ライダーを抜いたら、前にいた同じヤマハのピットをすぐに抜くことができ、ラップタイムも1秒近くアップ。でも2周したところでチェッカーとなり、結果は7位。悔しさの中、レースを終えることになった。
 表彰台も狙えたと思うと本当に悔しい。でも、チームスタッフは「SBKでは初めてのレースにしてはいい内容だったよ。それにヤマハでトップじゃないか!」とすごく喜んでくれたから、良かったかな……。
 これでようやくスタートラインに着けたような気持ちだ。まだマシンが自分にフィットしない部分があるので、ここからさらにセットアップを進めて、もっといいペースで走れるように仕上げていきたい。
 それにやっぱりSBKとGPとではレースウィークの流れや勝手がいろいろと違い、タイヤの本数制限などもあって、やろうと思っていたことができない場面も少なくなかった。このあたりも早く慣れていかなくては……。
 11年ぶりの僕のデビューレースは、残念ながら勝利というわけにはいかなかったけど、新しいスタートとしてはまずまずの滑り出しで、気持ちはすごく乗っている。チームスタッフたちとも「次はもっといいレースができるように頑張ろうぜ!」とあいさつして、サーキットを後にした。(2005.02.26)
NORICK'S PHOTOGRAPH
(写真左から順に)(1)(2)開幕戦ということで、各チームとも新しいカラーリングのマシンやレーシングスーツが仕上がってくる。僕のチームも含めて、あちこちで撮影会が行われていた。(3)初日のフリー走行は、まさかの雨。 砂漠なのに!(4)2日目も何と雨。このレースウィークは本当に雨に悩まされた。(5)初めてのSBKは、僕にとってもチームにとっても走行のたびに手探りをしているような状態。夜遅くまでかかってマシンの整備やセッティング変更に取り組んでくれるスタッフには、本当に感謝しています。
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