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 この年のYZR500もフルモデルチェンジを受けた。やはり前年の結果が良くなかったので、フレームやスイングアームを新型に変えたのだ。
 このマシンが、シーズンオフテストからなかなかの好印象で、少なくとも97年よりはずっといいフィーリングで走れた。そこそこいいタイムも出せて、「これならイケるかもしれない!」と期待を持ってシーズンに臨んだ。
 ところが、マシンのフィーリングはいいし、結構ちゃんと走れているにも関わらず、自分としては何だかもう1歩踏み込めていない気がしていた。やはりスランプのような状態だった前年を引きずってしまっていたのだ。
「あと1歩、あと1歩」というレースが続き、迎えた第6戦マドリッドGP(ハラマ)。このコースは僕にとって初めて走るサーキットだが、なかなかの好印象だった。予選は8位とそれほど良くはなかったけど、決勝はすごくいい感じで走れて、僕を含めて4台でのトップ争いになった。
 ハラマは狭いコースで抜くポイントが少なくて、トップを奪いたいのになかなか前に出られず、2位でフィニッシュ。表彰台を獲れた喜びよりも、優勝できなかった悔しさの方が大きかった。優勝と2位は、まったく違うものだからだ。
 その後も調子は上向きだった。第7戦オランダGP(アッセン)は、長くて覚えにくく、ベテランに有利なコース。僕も苦手意識があったが、予選ではドゥーハンの後ろにぴったりつくことができ、3番手グリッドを獲得した。第8戦イギリスGP(ドニントンパーク)、第12戦カタルニアGP(カタルニア)ではそれぞれ3位表彰台に立てたけど、 どうしても踏み込めないもどかしさがあった。
 最終戦アルゼンチンGP(ブエノスアイレス)は、路面グリップが低くてタイトなコーナーが多く、ホントに苦手意識が強いコース。思い切ってアクセルを開けることもできず、予選も17番手だった。
 もうシーズンも最終戦だし、予選結果も良くないし、思い切って大きくセッティングの方向性を振ってみることにした。決勝日朝のウォームアップ走行で走ってみたらフィーリングがいい。決勝もすごく感じよく走れて、面白いように前に出ることができ、4位に。「セッティング次第でこうもフィーリングが変わるのか」ということを痛感できたレースだった。表彰台は獲れなかったけど、レイニーさんも喜んでくれた。
 シーズンを振り返ると、表彰台にこそ立つことはできたが、やはり優勝できていないことが自分にとっては大きい。マシンのフィーリングは最終的に良くなってきたし、進歩した感触はあったけど、反省すべきことも多いシーズンだった。

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